一定期間更新がないため広告を表示しています
ドラフト改革私案を発表した
読売・清武球団代表(zakzakより)
裏金問題発覚以後、何だか急激に動いている「ドラフト・FA制度」改革議論ですが、ここに来ていよいよ希望枠撤廃・ウエーバー化という方向が見えてきて、徐々に固まりつつある気がします。この手の話を論じるのには、かなりのエネルギーが必要で、「そんなメンドなことやるよりかは、カープ記事書いてた方が楽しいしなぁ。」と感じ、また「一カープファンである自分がどう論旨を展開しても、所詮はカープの利益の代弁者に過ぎず、説得力に欠けるよな。」と思ったため、事態が収束するまでは静観を決め込もうとも思っていました。
が、しかし、ここにきて読売の清武代表が発表した私案を見るにつけ、「オイオイ、こんな自分のとこだけが生き残る勝手な案があるかよ!?」と刺激を受け、「そんならオイラも語っちゃうぜ。」と以前から温めていた自分なりの案を発表しておこうと思った次第です。この手の制度改革議論ってのは、興味がない人にとっては実に退屈なもので、「そんなん書くんだったら、ウエスタンで好投している前田健太の記事を書け!」とお叱りを受けるかもしれんですが(自分もそっちの方が書きたいです、安西先生・・・orz)、まぁたまのことなんで、お許しくだされ。
まず、今回発表された清武私案の内容について、ざっと箇条書きにしてみます。
・逆指名は廃止。
・ドラフトはウエーバー方式を採用。ただし完全ウエーバーではなく、高校生ドラフトは上位チームから、大社ドラフトは下位チームから指名するクロスウエーバー方式とする。
・ただし上位指名権を得るための敗退行為を防ぐため、下位チームの順位には抽選を用いる。
・FA移籍については、国内移籍は大学・社会人は5年、高校生は6年とし、補償金や人的補償は求めない。また海外移籍の場合には現行の9年のままとする。
ここで、完全ウエーバーではなく、クロスウエーバーというのはなかなか面白いアイデアだと思います。完全ウエーバーにしてしまうと、経営努力も払わずに、漫然と下位に居続けるチームが毎年いい素材を独占してしまう、なんてことも生じますしね。
またFA権取得期間の大幅短縮については、とりあえず海外移籍だけは封じておいて、自分のとこにFA選手を集めて、自軍を強くしようという意図が見え見えなんですが、これをやったらば自分のクビをも締めることにもなり兼ねないんじゃないの?と思いました。このFA短縮を取り入れたら、選手年俸は高騰する一方となることは明白ですが、それだけの支出に見合った宣伝効果が果たして今の巨人にあるでしょうか?これだけ価値観が多様化し、またネット社会が進行による新聞・TVといった旧メディアの衰退などを考えると、いくら巨人が強くなろうとも、以前のような圧倒的人気を取り戻すことはまず不可能といっていいはず。現にあれだけ繋がりの深かった日テレからも地上波放送の3割削減を食らって、広告収入、入場料収入なとも頭打ちがいいところの昨今では、これ以上の選手年俸の高騰は巨人にとっても決して歓迎すべき事態ではないと思いますけどね。
さて、このFA期間短縮は一部球団は別として、他球団にとってはただでさえ苦しい球団経営を更に逼迫させる材料であることは間違いなく、とうていこの案がそのまますんなりと採択されるとは思えません。どんなに頑張ってFAが短縮されても、いいところ1〜2年程度でしょう。また補償金・人的補償の撤廃についても、選手を育てては獲られる一方の球団にとっては到底納得しがたいものだと思われます。
そんな訳で、この清武案は実現性は乏しく、まぁとりあえず手前のとこの都合だけ考えた身勝手な案と言えなくもないですが、株式会社読売巨人軍の首脳としてはそうした案を発表するのはむしろ当然で、反対や批判を浴びる覚悟で、いち早く意見を発表したという点では評価されてもいいかなとは思います。(自分もそれに刺激されましたしねw)他球団フロントも様子見をしているだけじゃなくって、どんどんこういった私案を発表して貰いたいもの。我らが鈴木本部長も「個人的には具体案を持っている」と語っているので、お手並み拝見といきたいですね。
*
では次に私なりの案を発表したいと思います。
[ドラフトについて]
1.希望枠は廃止
2.ドラフトは高校・大社統一で、下位からの完全ウエーバーとする。
3.ただし上位指名権を得るための敗退行為を防ぐため、下位チームの順位には抽選を用いる。
4.一球団が保有するドラフト指名権は1位から7位までの、原則7枠のみとする。
5.新人の契約金・年俸については、順位・年齢を要素に、12球団で統一とする。
6.ドラフト指名選手が指名球団への入団を希望しない場合、指名球団は、その選手が入団を希望する球団と交渉を行い、入団交渉権を譲渡できるものとする。
7.入団交渉権の譲渡に当たっては、その代償として、翌年分の当該選手と同順位のドラフト指名権を獲得できるものとする。これ以外の方法での指名権の譲渡は認めない。
8.ドラフト指名されて入団を拒否した選手については、いずれの球団もその3年後でないと指名できないものとする。
さてこう書いただけでは分かりづらいと思いますので、解説を入れていきたいと思います。この案のポイントはいかに「入団する側の希望」と「勢力均衡」という相反する2つのテーゼを統合させるか、ということです。
昨年度のドラフトでも二人の選手が入団拒否をした事件がありましたが、やはり長年ドラフトを観ていて、その球団を熱望する選手は、そのチームに入るのが幸せじゃないか、と思わざるを得ません。一括りにプロ野球球団といっても、やっぱり待遇やら、地域性やら、母体の会社の規模やら、ファンの質やら、様々な面で違いがありますからね。「プロ野球という会社に入ったんだから、我が侭を言っちゃいかん!」という意見は乱暴に過ぎるかと思います。それに選手ってのはプロ入りに適した"旬"というものがあって、それを逃してしまうと、選手としての成長が止まってしまったりすることもありがちなので、その意味からもよけいにそう感じます。
でもかといって、全ての選手の希望を聞いていたら、不人気チームには全く人材が入らなくなってしまい、戦力のバランスが崩れ、ペナント争いもマンネリ化してしまい、野球が面白くなくなってしまうといったこともまた確かなので、バランス調整が難しいところです。私の案ではそれをドラフト指名権の譲渡によって、その実現を目指してみました。
例えば昨年、日大の長野選手が日ハムの4巡目指名を受けつつも、巨人を熱望して入団拒否したことがありましたが、この案に則って、日ハムは巨人と交渉して、今年のドラフト4巡目指名権と引き換えに長野選手との入団交渉権を巨人に譲渡すれば、八方丸く収まるのではないかと思います。長野選手にとってみれば、希望する球団に、旬の時期に入団できますし、巨人にとっては、翌年以降じゃないと入団できなかった長野選手を早く手に入れることができますし、日ハムにとっても、むざむざ無駄にしてしまったドラフト指名権が、翌年とはいえ戻ってくるのですから、悪くない話だと思います。万一これで巨人側が「長野選手を翌年のドラフト4巡指名と引き換えにするのはもったいない」という評価を下した場合には、長野選手側もそれなりに考えると思いますしね。
また希望枠もそうですが、裏金の温床として、ドラフト指名選手を囲い込んで、「他球団から指名の場合には、社会人入り or 社会人残留」といった密約を結ばせ、不当に低い順位でその選手を獲得することが挙げられますが、この案ならば、そうした選手をライバル球団が高い順位で早めに指名し、その球団の翌年の同順ドラフト指名権と引き換えさせることによって、その戦略を半ば無効化させることができます。8条で、一度ドラフト指名を受けた選手の指名を2年間禁止したのも、そのためです。この縛りをかけておけば、どんな密約もそれほどの効果にならないですからね。また5条の契約金・初年度年俸の統一も大切です。どこの球団に入っても当初の給与条件は同じとなれば、入る側もあれこれ選り好みすることも減るんじゃないかと思います。これに違反した球団には"3年間選手獲得禁止"位の重い罰則規定を付けなくては、効果がないでしょうけどね。
あと、4条で指名選手の人数を制限したのは、次のFAとの絡みです。7条でドラフト指名権の譲渡方法を限定したのは、ドラフト指名権の売買で食いつなごうとする球団が現れるのを防止するためです。
*
[FAについて]
1.FA移籍については、国内移籍は大学・社会人は6年、高校生は8年、人的補償は廃止し、当該選手の入団時の契約金を補償金とする。また海外移籍の場合には現行の9年のままとする。
2.各球団はシーズン終了後に、球団が保有するFA有資格選手について、1位から7位まで格付けを行う。ただし1〜6位については以下のように人数制限を設ける。
1位−3名・2位−4名・3位−5名・4位−6名・5位−7名・6位−8名
3.FA取得選手が移籍した場合、獲得した球団は上記の格付けに従って、翌年の該当するドラフト指名権を、移籍元の球団に譲渡するものとする。
現行のFA制度で大きな問題だと思うのが、本来の制度の趣旨である、「選手の自由移籍の権利」にあまり益していない点だと思います。昨年で言うと、小笠原がFA移籍しましたが、年俸に加えて4億5千万円という高額の補償金のために、獲得に二の足を踏む球団もありましたし、オリックスの塩崎、日高といった辺りもせっかくFA宣言したのに、どこの球団からも手が挙がらず終いといった事態も起こりました。プロとしてより高い評価を求めて、またより多くの出場機会を求めて、移籍ってのは良く分かる話なんですけどね。特に後者は。カープで言えば、実力に比して出場機会の少ない森笠や木村一といった選手たちにこそ、FA制度の恩恵があってしかるべしだと思うんですけど。そうした人材の円滑な流通といった点を考慮して、金銭補償は入団時の契約金のみとし、またFAのあおりで、人的補償で選手が他チームに飛ばされるってのもなかなか切ないので、それも廃止してみました。
もちろんこれだけでは、選手がFA流出する一方の球団はたまったもんじゃありませんので、3条のようにドラフト指名権の譲渡によって、その釣合いを保つよう工夫してあります。昨年でいえば黒田・小笠原といった大物がチーム離脱を噂され、広島・日ハム両球団のファンにとってはやるせない話でしたが、これがもし今年のドラフト1位指名権引き換えとなれば、長期的に見れば悪い話じゃないかも、と納得する人も出てくるのではないかと思います。
後は海外移籍の問題をどうするか、これも非常に悩みどころですが、清武私案と同様にFA移籍の年数に差を付ける位しか、アイデアが浮かびませんでした。ポスティング移籍で、選手の売買を行うのは禁止すべきと思うのですが、FAで海外流出は丸損ですしね。その球団には、ドラフトで何らかの優遇措置が与えられる制度などがあっても良いと思います。
*
以上が私のドラフトとFAの改革案ですが、この案の最大の主眼は「育てる球団と補強する球団の完全分離」です。最近の野球界の動向を見るに付けて、やっぱり各球団の経営規模が違いすぎるんですよね。読売グループ、西武グループのような大企業がバックについているところもあれば、ソフトバンク・楽天のように成長著しいIT企業が親会社の球団がある中で、カープのような独立採算で地方でちまちまやっている球団が一緒にやるってのはかなり無理がある話しですよ。
また巨人や阪神のような人気球団にとっては、やはり育成って困難だと思います。ドライチなんかで入団しようもんならばあっという間にマスコミとファンが群がり、ちやほやされて、そんなことされたら天狗になって、向上心も失ってしまいますし、FA選手や外国人がどしどし加入する中で彼らを上回る結果をすぐに出せというもの無茶な話だと思います。数限りあるアマの有望選手がむざむざそうした環境で潰されてしまうのは非常にもったいないと感じます。
そうした点を考慮に入れて、資金力のない球団は数多くのドラフト指名権を得て、若い選手をひたすら育成する、資金力のある球団はFA選手を中心にどんどん補強していく、といった二極化のスタンスこそが、これからの球界が向かっていく方向じゃないかと思うのです。
その二極化の中で、この制度ならば資金面に劣るカープでも何とか戦えるんじゃないかと思うんですよね。ドラフトで、1位指名権を複数取得して、好素材の投手を2〜3人獲得できれば、プレイオフに進出することは十分可能ですし、昨年の日ハムのように一挙に優勝なんてのも夢じゃないと思うのです。まぁ、結局のところこれが本音ですけど。清武私案を身勝手と責められませんな。
*
さて何だかとりとめもなく、家に帰ってから延々2時間近くキーボードを叩きましたが、読み返してみると実に論理的じゃないなぁというのが自分自身痛感して、嫌になりましたが、今更書き直すのも面倒臭いので、このままUPしてしまいます。多分大筋そのものは理解して頂けるんじゃないかと、読者様の読解力に期待する次第。
異論・反論などありましたら、コメントお願い致します。
************************************
↓ 人気ブログランキングに参加中です。
新規読者様獲得のため、また管理人のモチベーション維持のため、
ぜひ一日一クリックお願いします。
まだまだ半人前のブロガーですが、皆様に面白い記事を読んで頂く
為に、これからも頑張ります!
ぜひこのブログをあなたの手で「育成」してやって下さい。
またいつも応援して下さる方、本当にありがとうございます!m(__)m
Comments
いや、労作ですね。
自分の場合、俯瞰で物を考えるのは比較的得意な方だと思うんですが
枝葉部分、詰めが甘い。
細かい部分までガイドラインが示されているのが素晴らしいです。
最後の二極化論にも賛成。
指名権の譲渡案、良いですね。
ただ入団拒否選手の3年間凍結というのが現実的かどうか。
球界の都合で選手の自由を奪うドラフト制度、
世間的にはやりすぎだという事になる気がします。
罰則としては譲渡交渉が不調に終わった場合、翌年その球団(選手の希望球団)は
その選手を指名できない位がせいぜいですかね。
自分の場合、俯瞰で物を考えるのは比較的得意な方だと思うんですが
枝葉部分、詰めが甘い。
細かい部分までガイドラインが示されているのが素晴らしいです。
最後の二極化論にも賛成。
指名権の譲渡案、良いですね。
ただ入団拒否選手の3年間凍結というのが現実的かどうか。
球界の都合で選手の自由を奪うドラフト制度、
世間的にはやりすぎだという事になる気がします。
罰則としては譲渡交渉が不調に終わった場合、翌年その球団(選手の希望球団)は
その選手を指名できない位がせいぜいですかね。
こんばんは。
我ながら書いていて細かすぎと思いました。
もうちょっと大筋だけ書けば良かったかなぁと
反省。二極化はもう時代の必然という気がしますね。
3年間凍結については自分も迷いました。ホントは
1年のつもりだったんですけど、そうしちゃうとやっぱり
社会人残留で特定球団拒否とかの裏技が使えちゃい
ますしね。難しいところです。
まぁ契約金や年俸の統一についても、gogo126さんが
主張されているように、ちゃんと行うには、財務諸表の
公開など球団経営をガラス張りにする必要がありますし、
私の案では現実的に厳しい面がありますね。
そうした点も含めて、きっちり改革をやろうと思ったら、根本
から変えていかなくっちゃなりませんが、今の球界を見ると
それをやる気になるとも思えず。希望枠廃止、一部ウエー
バー導入、FA1〜2年短縮辺りの当たり障りのないところで
落ち着きそうですね。
我ながら書いていて細かすぎと思いました。
もうちょっと大筋だけ書けば良かったかなぁと
反省。二極化はもう時代の必然という気がしますね。
3年間凍結については自分も迷いました。ホントは
1年のつもりだったんですけど、そうしちゃうとやっぱり
社会人残留で特定球団拒否とかの裏技が使えちゃい
ますしね。難しいところです。
まぁ契約金や年俸の統一についても、gogo126さんが
主張されているように、ちゃんと行うには、財務諸表の
公開など球団経営をガラス張りにする必要がありますし、
私の案では現実的に厳しい面がありますね。
そうした点も含めて、きっちり改革をやろうと思ったら、根本
から変えていかなくっちゃなりませんが、今の球界を見ると
それをやる気になるとも思えず。希望枠廃止、一部ウエー
バー導入、FA1〜2年短縮辺りの当たり障りのないところで
落ち着きそうですね。
FA選手を格付けしてその順位の指名権を貰うってのは面白いですね。
海外移籍に関しては日米間トレードの制度を作って欲しいと考えてます。
海外移籍に関しては日米間トレードの制度を作って欲しいと考えてます。
この制度ならば、FAで獲る側も獲られる側も、そしてFA
する選手もみな納得すると思うんですけどね。
ドラフト指名権の譲渡について、どこかの球団が意見を
出してくれないかと期待してます。
海外移籍問題は本当に難しいですね。
年俸にあまりに開きがありますぎて、トレードでの
解決はできるか微妙かも。
する選手もみな納得すると思うんですけどね。
ドラフト指名権の譲渡について、どこかの球団が意見を
出してくれないかと期待してます。
海外移籍問題は本当に難しいですね。
年俸にあまりに開きがありますぎて、トレードでの
解決はできるか微妙かも。
Trackback URL
トラックバック機能は終了しました。
Trackback
巨人がドラフト改革案を提示、FA取得期間は短縮(読売新聞)
巨人提案「日本版ウェーバー」を考察 || おっとり横浜ファンの独り言 ** 2007/03/14 11:54 PM
ドラフトドラフト(draft)* 徴兵の事* 選抜という意味。プロスポーツで所属チームを決めるドラフト制度のドラフトはこの意味。 プロスポーツにおける選手獲得の交渉権を決める方法の一つ。ドラフト会議を参照。* 生ビール(draft beer)のこと。* 下書き
ドラフト || りこの部屋 ** 2007/10/04 7:57 AM